「ファイナンシャル・プランニング技能検定 試験科目及びその範囲」というドキュメントを使って、FP2級の試験範囲を確認しています。このページでは、「B リスク管理」の分野に入っていきましょう。リスク管理というのは、要するに、保険を使ってリスクに対処するという意味です。
ちなみに、この「B リスク管理」だけで60問中の10問の出題があります。16.7%がリスク管理の問題という事ですね。つまり、保険に関してはかなり力をいれて学習する必要があるという事です。
このページなんとかリスク管理については概観できると良いのですが。さすがにちょっと量が多すぎるかな。
では、行ってみましょう。
Contents
「1. リスクマネジメント」は出題されない?
まず、最初の「1. リスクマネジメント」ですが、次のような問題が出題される事になっているのだそうです。
リスクマネジメントに関し、次に掲げる事項について一般的な知識を有すること
(1) リスクマネジメントの概念
(2) リスクマネジメントの手法
(3) 個人をとりまく主なリスクとその管理
(4) 企業をとりまく主なリスクとその管理
(5) リスクマネジメントにおける生命保険、損害保険の活用
こういった内容が出題されることにはなっているようですが、実際には出題されていないみたいですね。少なくとも、独立した1問として出題されることは無さそうです。何回分かをさかのぼってチェックしてみましたが、該当するような問題は見つかりませんでした。
もっとも、前提知識としては知っておいた方が良い内容です。テキストをサラッと読んで、リスクマネジメントとは何かというイメージだけでもつかんでおいたら良いでしょう。
逆に言うと、その程度で十分です。
「2. 保険制度全般」は出題されないことも多い
次に行ってみましょう。「2. 保険制度全般」では、次のような事が問われるそうです。
1. わが国の保険制度に関し、次に掲げる事項について一般的な知識を有すること
(1) 社会保険制度と民間保険
(2) 保険会社の引受及び募集形態
(3) 契約者保護に関する制度及び規制
(4) 共済、少額短期保険
(5) 保険マーケットの最近の動向
2. 保険業法、保険法について一般的な知識を有すること
率直に言って、この部分に関しても、出題頻度は高くありません。「1. リスクマネジメント」程ではありませんけどね。実際の学科試験では、聞かれたり聞かれなかったりという感じです。
この中でも「保険法」と「保険業法」に関しては、割とよく出題されるようです。でも、FP2級のために法律の条文を読むかといわれるとねえ。意外と分量も多そうですし。
この部分も、まあ、捨ててしまっていいのではないかとも思いますけどね。FP2級は範囲が広く、学習することも多いですから。
まあ、過去問で出題された箇所は理解しておくくらいで十分ではないかと思います。
「3. 生命保険」は4問から5問程度の出題
次は「3. 生命保険」です。これも、まず試験範囲を引用してみましょう。
1. 生命保険に関し、次に掲げる事項について一般的な知識を有すること
(1) 生命保険の仕組みと機能
(2) 生命保険料の仕組み
(3) 剰余金・配当金の仕組み
(4) 契約手続や保険約款の一般的事項
(5) 生命保険契約の読取り・理解
2. 生命保険商品に関し、次に掲げる事項について一般的な知識を有すること
(1) 生命保険商品の種類と内容
イ 個人向け保険商品、ロ 個人年金保険、ハ 医療保険
(2) 特約の種類と内容
(3) 団体保険・財形制度
イ 団体生命保険、ロ 団体年金保険、ハ 財形制度
(4) 生命保険の新商品動向
3. 生命保険と税金に関し、次に掲げる事項について一般的な知識を有すること
(1) 保険料と税金
(2) 保険金・給付金と税金
(3) 解約返戻金と税金
(4) 生命保険契約の権利の評価
(5) 個人年金保険と税金
(6) 法人における生命保険の経理処理
イ 保険料の経理処理、ロ 配当金の経理処理
ハ 給付金の経理処理、ニ 保険金・解約返戻金の経理処理
「3. 生命保険」という見出しから予想できると思いますが、「B リスク管理」の中の本丸の一つです。毎回4問から5問程度の出題があります。
5問という事は、リスク管理で10問出題される中の半分が生命保険の問題という可能性おもあるわけです。
細かいバリエーションやら新商品やらがありますので、チェックするのは結構大変だと思いますけどね。この分野に関してはまじめに勉強するしかありません。問題が出題される以上ね。
ただ、覚えることも比例して多いのも事実です。例えば、代表的な生命保険だけでも、定期保険、終身保険、養老保険などがあります。さらに、個人年金保険も生命保険の一種ですね。医療保険もこの中に入れられているようです。(本来は第三分野の保険だと思わないでも無いのですが。試験の都合かな。)
そして、これらの保険の中に、細かいバリエーションがあったりするのです。終身保険の中に低解約返戻金型なんていうのがあったり、定期保険に長期平準定期保険があったりします。
学ぶべき知識は、結構多いです。試験範囲の中身を見てもわりとまんべんなく出題される印象ですね。
今のご時世では出題され憎い箇所も
ただ、細かく見ていくと、今の時期にはあまり出題されないだろうなというような分野もあります。
例えば、「団体保険・財形制度」の中で、財形に関しての出題は、今の時期は出題は考えないだろうと思うのです。金利が低下したので、財形がそれほど有利な商品ではなくなってしまいましたから。
同じような理由で、「剰余金・配当金の仕組み」の中の配当金に関しても、出題される確率は低いように感じます。これも金利低下の影響で、配当金が出ない確率が高そうなので。
こんなふうに考えると、ある程度学習の優先順位はつけられそうですね。あとは、過去問を見て、出題されやすい分野とそうでない分野を見極めるのかな。過去問を使ってチェックするのは大事です。
「4. 損害保険」は3問から4問程度の出題かな
生命保険とくれば、次に来るのが「4. 損害保険」です。
1. 損害保険に関し、次に掲げる事項について一般的な知識を有すること
(1) 損害保険の仕組みと機能
(2) 損害保険料の仕組み
(3) 保険契約・損害賠償と法律知識
(4) 損害保険契約の読取り・理解
2. 損害保険商品に関し、次に掲げる事項について一般的な知識を有すること
(1) 損害保険商品の種類と内容
イ 火災保険、ロ 地震保険、ハ 自動車保険、ニ 傷害保険
ホ 費用・利益保険、ヘ 賠償責任保険、ト 積立型損害保険
(2) 損害保険の新商品動向
3. 損害保険と税金に関し、次に掲げる事項について一般的な知識を有すること
(1) 個人契約の損害保険と税金
イ 保険料と税金、ロ 保険金と税金、ハ 満期返戻金・配当金等と税金
(2) 法人契約の損害保険と経理処理
イ 保険料の経理処理、ロ 満期返戻金・配当金等の経理処理、ハ 保険金の経理処理
(3) 損害賠償金・災害と税金
イ 損害賠償金と税金、ロ 災害と税金
損害保険に関しては、3問から4問出題される感じでしょうか。生命保険と並んで、「リスク管理」分野の山という感じですね。
損害保険も生命保険と同様、保険の種類ごとの知識が必要なんですよね。火災保険、自動車保険、傷害保険、賠償責任保険など、様々な保険が存在します。種類が多いので、一つ一つを覚えるのが大変です。
商品ごとの設計の違いが大きいので、生命保険よりも損害保険の方が、覚えることが多いような気がします。生命保険は誰かが死んだ時とか誰かが一定の年齢まで生きたらとか、条件が決まっているんですけどね。損害保険はバリエーションがかなり多いように思うのです。
単純に、私自身が、生命保険の方が得意だからなのかもしれませんが。でも、実際に、生命保険よりも損害保険の方が苦手という人は、多いような気がするんですけどね。自動車保険と火災保険以外は、なじみがないという人が多いでしょうから。
傷害保険とか個人賠償責任保険などは保険料も安いですからね。入っていても、気づいてすらいなかったりなんて話も珍しくありません。
まあ、何にしても、損害保険がかなり大変なのは間違いありません。
生命保険と損害保険の税金について
ここでちょっと注目してほしいのが、「生命保険」と「損害保険」では、税金に関する項目が出題されるという点です。意識してみると、税金に関する項目が意外と多いことに気づくでしょう。
実際、出題の頻度自体も高いので、しっかり理解しないといけません。実は、一度覚えてしまえば得点しやすいところでもありますし。
ただ、税金の話って、この後で出てくるタックスプランニングでまとめて勉強するんですよね。保険の話をしている段階では、まだ税に関しては勉強していないことになるのです。
この出題範囲は、実際の学科試験の出題順におおよそ並んでいます。ということは、試験の出題順に勉強すると、生命保険に関する税金だけ先に勉強しないといけない構成になっているわけです。
おそらく、これは、非常に効率が悪い学習法でしょう。効率的に学習をするのなら、生命保険と損害保険の税に関する知識の学習は、後回しにする方がいいはずです。タックスプランニングを学習した後に、この分野も勉強するのです。
「5. 第三分野の保険」は意外と出題が少ない
「生命保険」「損害保険」ときて、次は「第三分野の保険」です。「生命保険」でも「損害保険」でも無いので、第三分野という事のようですね。
第三分野の試験範囲の説明は、以下の通り。
第三分野の保険に関し、次に掲げる事項について一般的な知識を有すること
(1) 医療保険と医療保険特約
(2) 生前給付保険と特約
(3) 介護保険と特約
(4) ガン保険と特約
(5) その他の第三分野の保険と特約
この第三分野の保険の範囲ですが、実は、あまり試験では出題されないようですね。出題されても1問程度です。
率直に言って、あまり気を使わなくても良いところだと思います。一回テキストに目を通して、概要を把握しておくだけで十分でしょう。
ちょっと気になるのは、医療保険の部分です。医療保険に関しては生命保険の範囲にも入っているのです。実際に、生命保険の問題の中で、選択肢の一つとして出てくることもあります。
ちなみに医療保険に関しては、実はそれほど理解は難しくありません。基本的には「入院すると1日あたり○円もらえる」という仕組みの、単純な掛け捨て保険ですから。
ですから、しっかり勉強しておけば、どこで出題されても大きな問題は無いはずです。
「6. リスク管理と保険」は毎回1問以上出題
次に来るのが「6. リスク管理と保険」の分野です。毎回1問出題されていますが、2問出題されることもあるようですね。
どんなリスクに対してどんな保険で備えるのかというような理解が必要です。詳しくは次のような感じ。
1. 家庭生活とリスク管理に関し、次に掲げる事項について一般的な知識を有すること
(1) 生命保険を利用した家庭のリスク管理
イ 死亡保障と保険設計、ロ 医療保障と保険設計、ハ 老後準備と保険設計
(2) 損害保険を利用した家庭のリスク管理
イ 物(住宅、自動車等)と保険設計、ロ 人と保険設計、ハ 賠償責任と保険設計
(3) 顧客層別、年齢別の保険を利用したリスク管理
2. 事業活動とリスク管理に関し、次に掲げる事項について一般的な知識を有すること
(1) 生命保険を利用した事業活動のリスク管理
イ 役員と保険設計、ロ 従業員と保険設計
(2) 損害保険を利用した事業活動のリスク管理
イ 物(建物、機械設備等)と保険設計、ロ 人と保険設計、ハ 賠償責任と保険設計
この範囲の問題に関しては、それぞれの保険の詳細に関する知識が必要とされます。正確な知識が無いと、正解にたどり着けない問題が出題されることがあるのです。
例えば、「国内旅行中の細菌性食中毒は傷害保険で備えられるのか?」というような知識が必要だったりします。あるいは、「飼い犬が他人にケガをさせた時に、家族傷害保険の個人賠償責任補償特約で対応できるのか?」とか。
明らかな正解とか不正解があって、細かい知識なしでも正解できることもあるんですけどね。その一方で、知識が無いと正解にたどり着けないケースもあるようです。
上にも書きましたが、損害保険に関しては、「自動車保険と火災保険は詳しいけど他は全然」という人も多いでしょう(私もその一人ですけど)。そういう人にはちょっと厄介かもしれません(実際、過去に苦労した記憶があります)。
7. リスク管理の最新の動向
そして、最後に「7. リスク管理の最新の動向」というのが一応範囲になっています。
最新の「リスク管理」について一般的な知識を有すること
この分野は、実際に出題されたことがあるのかなあ。ちょっと記憶にないのですが。
保険関係で何か大きな動きがあった時用に、一応作っておいたという感じの項目なのでしょうね。
余談:保険が必要かどうかを判断させる問題が出ないんだよね
ここまで見てきたような知識が身につくわけですから、FP2級の試験を受けるような人は、保険に関する一通りの知識を得ることが出来ます。生命保険も損害保険も、主要なものは大体頭に入っているはずです。
でも、いざ自分で保険を選ぼうと思うと、なかなか難しいのではないかと思います。というのも、その保険が自分や自分の家族に必要なのかという判断については教えないからです。
将来に対しての不安は誰もが持っているわけですから、保険で備えられるならそれに越したことはありません。とは言え、保険には保険料がかかります。すべての保険に入るわけにはいかないのです。
あるいは、保険よりも資産運用にお金を回した方が賢いケースだってありますよね。さらには保険なんて無くても、預貯金で対処できるケースだって多いでしょう。
FP2級の問題を見ていると、保険会社に気を使って問題を作っているのかなあと感じざるを得ないんですよね。おそらく一番大事な保険が要るか要らないかという部分を、意図的に範囲から外しているように思えてならないのです。
必要性を基準に保険を考えたら、要らないと判断される保険がかなり多いでしょう。保険会社の事を考えたら、そんな問題は出せません。
あ、憶測ですけど。
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